Azure Virtual Desktop (旧称WVD)は仮想化されたデスクトップ環境をクラウドで提供するMicrosoft Azureのサービスです。VDI(VirtualDesktopInfrastructure)は、社員が使用するPC(クライアントPC)の機能は必要最小限にとどめ、アプリケーションや業務データを仮想サーバー上に集約し、処理を行う仕組みのことをいいます。クライアントPCの数だけ仮想マシン(OS・アプリケーション・データ領域から構成)を整え、仮想マシンが処理を行うことによって、クライアントは通信・操作だけを集中して実行できます。
管理の比較
クラウド型VDI(AVD) | オンプレミス型VDI | |
データ | お客様管理 | お客様管理 |
アプリケーション | お客様管理 | お客様管理 |
OS | お客様管理 | お客様管理 |
VDI管理製品 | Microsoftがサービスとして提供 | お客様管理 |
ハイパーバイザー | Microsoftがサービスとして提供 | お客様管理 |
ネットワーク機器 | Microsoftがサービスとして提供 | お客様管理 |
サーバ機器 | Microsoftがサービスとして提供 | お客様管理 |
ストレージ機器 | Microsoftがサービスとして提供 | お客様管理 |
データセンター設備 | Microsoftがサービスとして提供 | お客様管理 |
VDIの比較
AVD (Azure Virtual Desktop) | VDI (Virtual Desktop Infrastructure) | SBC (Server Based Computing) | |
---|---|---|---|
集約率 | 高 | 低 | Client OS |
コスト | 低 | 高 | 低 |
OS | Client OS | Client OS | Server OS |
アプリ互換性 | 高 | 高 | 低 |
マルチセッション | 可能 | – | – |
*WVDはVDIのように1対1やSBCのように1対Nのどちらの構成も利用可能です。
WVDがサポートしているOS
Windows 10 Enterprise マルチセッション
Windows 10 Enterprise シングルセッション
Windows 7 シングルセッション
Windows Server 2019
Windows Server 2016
Windows Server 2012 R2
*Windows7の一時的な延命処置としてWVDが必要な場合はご相談ください。
WVDに必要なライセンス
Microsoft 365 E3, E5
- Microsoft 365 A3, A5, Student Use Benefits (教育機関のみ)
- Windows 10 Enterprise E3, E5
- Windows 10 Education A3, A5 (教育機関のみ)
- Windows 10 VDA per user
*Windows Server* 2012 R2, 2016, 2019 を稼働する場合
ソフトウェア アシュアランス付きのRDS クライアント アクセス ライセンス (CAL)
料金のイメージ
WVDの仮想マシンだけでは運用は難しい為、周辺のサーバやストレージも計算に入れる必要があります。既にAzureを利用していてVPNやADConnectを使っている、Windows10Enterpriseのライセンスを保有している場合は削減の余地があります。
Azure IaaS
1 Active Directory Domain Service
2 AzureAD Connect VM (AzureADと同期)
3 VPN Gateway(オンプレミスとVPN)
4 Blob Storage(Profile保存)
5 Windows Virtual Desktop
6 Windows10E3
Microsoft 365 Business
合計ユーザー数 | 100 | 200 | 500 |
---|---|---|---|
Active Directory Domain Service | ¥14,593 | ¥14,593 | ¥14,593 |
AzureAD Connect VM | ¥14,593 | ¥14,593 | ¥14,593 |
VPN Gateway | ¥16,811 | ¥16,811 | ¥16,811 |
Blob Storage | ¥2,356 | ¥4,596 | ¥11,316 |
WVD VM | ¥68,113 | ¥120,993 | ¥258,273 |
License (Windows 10) | ¥76,000 | ¥152,000 | ¥380,000 |
Azure Support Std | ¥11,200 | ¥11,200 | ¥11,200 |
合計(月額) | ¥203,669 | ¥334,788 | ¥706,788 |
1ユーザー(月額) | ¥2,036 | ¥1,673 | ¥1,413 |
試算の前提
• 東日本リージョンを使用
• 基本的な稼働時間は月間220時間 (11時間 x 20日) 例えば 平日 8:00~19:00 (11時間)
• 稼働時間内に同時に90%のユーザーが接続する
• 稼働時間外に同時に5%のユーザーが接続する
• Multi-Session を使用する
• 1.ADDS VM, 2.AD Connect VM は 3年 RI, 5. WVD は従量課金
• 1人あたりの Profile 領域は 10GB
• License は Windows 10 Enterprise E3 peruser (MOSP)
• VPN は VPN Gw1 + 100GB 転送料
※電源管理の仕組みは別途実装が必要。月間稼働 220時間の場合、3年予約 (Reserved Instance)
の方が上記より安くなるケースもあります。
Azure Virtual Desktopの特徴
マルチセッションが活用可能
複数のクライアントPCから同時にホストの仮想マシンにアクセスして、対話型のセッションを利用できる機能です。
Office 365 ProPlus対応可能
Office 365 ProPlusを仮想化およびマルチユーザーに対応。
構築期間やコストの削減が可能
従来は多くの時間を必要としたVDI開発が不要となります。その為、開発コストの削減が可能となります。
多要素認証やIP制限等の高いセキュリティ
前提としてクライアントPCにデータがないという点が安全です。加えて多要素認証やAzure DDos Protectionやインターネット分離といったAzureならではの環境が整っています。