BYOD デバイスを企業で導入する場合、懸念される行為として、社内データと個人データの境界線が曖昧になることでのデータの不正持ち出しなどが挙げられます。
このようなセキュリティリスクへの対策として、IntuneでMAM(Mobile Application Management)による端末のアプリケーション管理を行います。
今回は、MAMと条件付きアクセスポリシーの実装方法について紹介いたしますので是非ご参考ください。
図1 アプリ保護ポリシー適用の流れ
条件付きアクセスを設定すると「個人スマホで会社用メールを確認したい!」といった際に、勝手に個人スマホで追加できないようになります。
個人スマホで会社用メールを利用するには、まず社内で許可をもらいます。その後、Authenticatorを利用してMicrosoft Entraにデバイス登録をします。そうすると自動的にアプリ保護ポリシーが割り当てられます。そうすると、会社用メールの追加が許可されます。デバイス登録をしていない個人スマホはアプリ保護ポリシーが適用されていないのでOutlookの利用ができません。
図2 個人用のスマホに業務データの保存や共有ができない
アプリ保護ポリシーを設定すると情報漏えい対策ができます。個人用G-mailアカウントで受信した業務データを保存・共有することは可能ですが、会社用アカウントで受信した業務データは、アプリ保護ポリシーによって制限されるため業務データを保存・共有することはできません。
- 手順1 iOS アプリ保護ポリシーの作成
- 手順2 条件付きアクセス作成
- 手順3 iOSで会社用のメールアカウントを追加する
- 手順4 Entra/Intuneでデバイスの自動反映を確認
- 手順5 iOS 個人用/会社用でのファイルの保存や共有の違い
- 手順6 Android アプリ保護ポリシーの作成
- 手順7 Androidで会社用のメールアカウントを追加する
- 手順8 Android 個人用/会社用でのファイルの保存や共有の違い
手順1 iOS アプリ保護ポリシーの作成
1.Microsoft Intune 管理センターを開きます。
2.「アプリ」をクリックします。
3.「アプリ保護ポリシー」をクリックします。
4.「ポリシーの作成」のプルダウンから、「iOS/iPadOS」を選択します。
5.「名前」を入力し、「次へ」をクリックします。
※ここでは「iOS_App_Protection」と入力します。
6.「ポリシーの対象」のプルダウンから、「すべてのアプリ」を選択します。
7.「次へ」をクリックします。
8.「iTunesとiCloudのバックアップに組織データをバックアップ」を「ブロック」に設定します。
9.「他のアプリに組織データを送信」のプルダウンから、「ポリシー マネージド アプリ」を選択します。
10.「組織データのコピーを保存」を「ブロック」に設定します。
11.「選択したサービスにユーザーがコピーを保存することを許可」のプルダウンの、「OneDrive for Business」と「SharePoint」にチェックを入れます。
12.「ポリシー マネージド アプリデータとネイティブアプリまたはアドインの同期」と「組織のデータを出力する」の設定を「ブロック」へと変更します。
13.「次へ」をクリックします。
14.「単純なPIN」を「ブロック」に設定し、「タイムアウト(非アクティブ分数)」を「720」に設定します。
15.「次へ」をクリックします。
16.アプリの条件の「オフラインの猶予期間」を「720」に設定します。
17.デバイスの条件を新規で作成します。プルダウンから、「OSの最小バージョン」を選択します。
18.「値」を「10.0」に設定し、「操作」のプルダウンから「アクセス禁止」を選択します。
19.「次へ」を選択します。
20.「グループの追加」をクリックします。
21.含めるグループを選択し、「選択」をクリックします。
22.「レビューと保存」をクリックします。
23.「保存」をクリックします。
24.ポリシーが保存されました。
手順2 条件付きアクセス作成
1.「デバイス」をクリックし、「条件付きアクセス」を開きます。
2.「新しいポリシーを作成する」をクリックします。
3.「名前」を入力し、「ユーザー」をクリックします。
※ここでは「BYOD_conditionalPolicy」と入力します。
4.「ユーザーとグループの選択」をクリックし、「ユーザーとグループ」を選択します。
5.対象のユーザーやグループを選択し、「選択」をクリックします。
6.「対象外」をクリックし、「ユーザーとグループ」を選択します。
7.対象外に設定するユーザーやグループを選択し、「選択」をクリックします。
8.「ターゲットリソース」をクリックし、「すべてのクラウドアプリ」を選択します。
9.「条件」をクリックします。
10.「デバイスプラットフォーム」をクリックし、構成を「はい」に変更します。
11.「デバイスプラットフォームの選択」をクリックし、「Android」と「iOS」にチェックを入れ、「完了」をクリックします。
12.「許可」をクリックし、「アプリの保護ポリシーが必要」にチェックを入れ、「選択」をクリックします。
13.「ポリシーの有効化」を「オン」に設定し、「作成」をクリックします。
手順3 iOSで会社用のメールアカウントを追加する
・Authenticatorと連携し、会社用メールアカウントを追加
1.「Outlook」を開きます。
2.左上の「アカウントマーク」をクリックします。
3.「メールアカウントの追加」をクリックします。
4.メールアドレスを入力し、「アカウントの追加」をクリックします。
5.認証画面に切り替わるので、「Authenticatorを開く」をクリックします。
6.パスワードを入力し、「サインイン」をクリックします。
7.「登録」をクリックします。
8.サインインを行います。
9.「OK」をクリックします。
10.再度Outlookを開き、「アカウントマーク」をクリックします。
11.会社用メールアカウントが追加されたことを確認できます。
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(失敗例)Authenticatorと連携せずに、アカウントを追加
→ エラーが表示され、追加ができませんでした。
1.「Outlook」を開きます。
※Authenticatorはインストールされていません。
2.「アカウントマーク」をクリックします。
3.「メールアカウントの追加」をクリックします。
4.メールアドレスを入力し、「アカウントの追加」をクリックします。
5.パスワードを入力し、「サインイン」をクリックします。
6.「アプリの取得」をクリックします。
7.エラー画面が表示されました。
手順4 Entra/Intuneでデバイスの自動反映を確認
[Microsoft Entra]
1.Microsoft Entraを開きます。
2.ユーザーから、「デバイス」をクリックします。
3.デバイスが自動で反映されているのを確認できます。
[Intune]
1.Microsoft Intune 管理センターを開きます。
2.ユーザーを開き、「デバイス」をクリックします。
3.デバイスが自動で反映されているのを確認できます。
手順5 iOS 個人用/会社用でのファイルの保存や共有の違い
・個人のアウントで作業した場合
→ ファイルを個人のデバイスへ保存・共有などが可能
1.「Outlook」を開きます。
2.ファイルが添付されているメールを開きます。
※個人のアカウントからメールを開いています。
3.PDFファイルを開き、右上の「保存ボタン」をクリックします。
4.「ファイルの共有」をクリックします。
5.「ファイルに保存」をクリックします。
6.iPhone内に保存することが可能です。
7.ファイルの共有をするには、手順5-4で「ファイルの共有」を選択した後、「Outlook」をクリックします。
8.自動で画面が切り替わり、PDFファイルの共有が可能になります。
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・会社用アウントで作業した場合
→ ファイルを個人のデバイスへ保存・共有することは不可
1.「Outlook」を開きます。
2.会社用アカウントに切り替えます。
3. PDFファイル右上の「保存ボタン」をクリックし、「ファイルの共有」をクリックします。
4.「ファイルに保存」をクリックします。
5.このようにエラー画面が表示され、個人のデバイス内には保存できないようになっています。
6.ファイルデータをコピーし、個人用のアカウントに切り替えて貼り付けしようとしても、「組織のデータをここに貼り付けることはできません。」というメッセージが表示され、貼り付けられない仕様になっていました。
手順6 Android アプリ保護ポリシーの作成
1.Microsoft Intune 管理センターを開きます。
2.「アプリ」をクリックし、「アプリ保護ポリシー」をクリックします。
3.「ポリシーの作成」のプルダウンから、「Android」を選択します。
4.「名前」を入力し、「次へ」をクリックします。
※ここでは「Android_App_Protection」と入力します。
5.「ポリシーの対象」のプルダウンから、「すべてMicrosoft Apps」を選択します。
6.「次へ」をクリックします。
7.「Androidバックアップサービスに組織データをバックアップ」を「ブロック」に設定します。
8.「他のアプリに組織データを送信」のプルダウンから、「ポリシー マネージド アプリ」を選択します。
9.「ポリシー マネージド アプリデータとネイティブアプリまたはアドインの同期」と「組織のデータを出力する」の設定を「ブロック」へと変更します。
10.「次へ」をクリックします。
11.「タイムアウト(非アクティブ分数)」を「720」に設定し、「次へ」をクリックします。
12.「次へ」を選択します。
13.「グループの追加」をクリックします。
14.含めるグループを選択し、「選択」をクリックします。
15.「次へ」を選択します。
16.「作成」をクリックします。
手順7 Androidで会社用のメールアカウントを追加する
・Authenticatorと連携し、Microsoft Intune ポータルサイトをインストール後アカウントを追加
1.Microsoft Intune ポータルサイトをインストールします。
2. Outlookを開き、「アカウントマーク」をクリックします。
3.「アカウントの追加」をクリックします。
4.メールアドレスとパスワードを入力し、「登録」をクリックします。
5.サインインを行います。画面が切り替わるので、そのままお待ちください。
6.「続行」をクリックします。
7.PINを入力し、「OK」をクリックします。
8.会社用メールアカウントが追加されました。
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(失敗例) Authenticatorと連携せずに、アカウントを追加
→ Microsoft Intune ポータルサイトのインストール画面が表示されてしまい、追加できませんでした。
1.「Outlook」を開きます。
2.「アカウントマーク」をクリックします。
3.「アカウントの追加」をクリックします。
4.メールアドレスを入力し、「続行」をクリックします。
5.パスワードを入力し、「サインイン」をクリックします。
6.「アプリの取得」をクリックします。
7.Microsoft Intune ポータルサイトのインストール画面が表示されてしまいます。
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(失敗例) Authenticatorと連携し、アカウントを追加
→ こちらも、Microsoft Intune ポータルサイトのインストール画面が表示されてしまい追加できませんでした。
1.Authenticatorにサインインします。
2.メールアドレスとパスワードを入力し、サインインを行います。
3.「OK」をクリックします。
4. Authenticatorのサインインが完了しました。
5.Outlookを開き、「アカウントマーク」をクリックします。
6.「アカウントの追加」をクリックします。
7.再度、Microsoft Intune ポータルサイトのインストール画面が表示されてしまいました。
手順8 Android 個人用/会社用でのファイルの保存や共有の違い
・個人のアウントで作業した場合
→ ファイルを個人のデバイスへ保存・共有などが可能
1.ファイルが添付されているメールを開きます。
※個人のアカウントからメールを開いています。
2.PDFファイルを開き、右上の「三点リーダー」をクリックします。
3.「ダウンロード」をクリックします。
4.ファイルが保存されました。
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・会社用アウントで作業した場合
→ ファイルを個人のデバイスへ保存・共有することは不可
1.会社用アカウントに切り替えます。
2. PDFファイルをクリックします。
3.このように、PDFファイルを開こうとするとエラー画面が表示され、個人のデバイス内に保存することはできませんでした。
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