Microsoft Teamsを活用した業務コミュニケーションが日常化する中で、「他のユーザーのチャット内容を確認したい」というニーズが発生する場面があります。
たとえば、退職者の引き継ぎが不十分だった場合や、長期休職中の社員が対応していた案件の引き継ぎ内容を確認したいといったケースです。
しかし、 Teamsのチャットは基本的に本人しか見られないため、管理者であっても、他の人のチャットを確認することはできません。
そこで本記事では、Microsoft Purviewの「コンテンツ検索」機能を活用して、退職者を含むユーザーのTeamsチャット内容を確認する方法をご紹介します。


目次
1.前提条件と注意点
■ 前提条件
コンテンツ検索を実行するには、検索を行う管理者アカウントと、検索対象となるユーザーの両方に Exchange Online のライセンスが付与されている必要があります。
ライセンスが付与されていない場合、検索対象としてユーザーを指定しても、チャットデータが取得できない可能性があります。
■ 注意点
検索によって出力される Teams のチャット内容は、Outlook のメール形式(PSTファイル)で確認する形になります。
そのため、チャットの見た目や流れが Teams 上での表示とは異なり、やや読みづらく感じることがあります。
もし、より自然な形でチャット内容を確認したい場合は、対象ユーザーのアカウントで直接 Teams にログインして確認するのが最も簡単な方法です(※確認する対象のユーザーがTeamsを利用できるライセンスが有効である必要があります)。
2.事前準備:必要な権限の付与
1.グローバル管理者権限が付与されたアカウントにて、Microsoft 365管理センターから 「Microsoft Purview」をクリックします。

2.「設定」をクリックします。

3.役割とスコープのプルダウンから「役割グループ」を開き、「eDiscovery Manager」にチェックを入れます。

4. 「編集」をクリックします。

5. 「電子情報開示マネージャーの管理」 の画面はそのまま で、「次へ」 をクリックします。

6. 「電子情報開示管理者の管理」 の画面にて、「ユーザーの選択」 をクリックします。

7.Teamsチャットの確認を行うユーザーにチェックを入れ、 「選択」 をクリックします。

8.手順7で選択したユーザーが表示されるためチェックを入れ、「次へ」をクリックします。

9.「保存」をクリックします。

10.Teamsのチャットを検索するために必要な権限の付与が完了しました。
「完了」をクリックします。
※新たに権限の付与を行った場合、反映に時間(最大24時間)を要する場合があります。

3.Teamsチャットを検索する手順
■出力するチャット画面
はじめに今回確認をするユーザーのチャット画面を確認します。
① f.ichikawa に対するメッセージ

② m.takeuchi に対するメッセージ

③ f.ichikawa と m.takeuchi にグループチャットで送信したメッセージ

■チャットの確認手順
1. 「eDiscovery Manager」 権限が付与されたユーザー(目次2参照)にて、Microsoft Purviewを開きます。

2.「すべてのソリューションを表示する」をクリックします。

3. 「電子情報開示」 をクリックします。

4.「Content Search」 をクリックします。

5.「検索の作成」をクリックします。

6.以下項目を入力し、「作成」をクリックします。
————————————————————
検索名:任意
検索の説明:任意
————————————————————

7.「ソースの追加」 をクリックします。

8.チャットの内容を確認する対象のユーザーにチェックを入れ、 「管理」 をクリックします。

9.「メールボックス」にチェックを入れ、「保存」をクリックします。
※サイトのチェックは外しても問題ありません。

10.「+条件を追加」のプルダウンから、 「Key QL」 をクリックします。

11.以下の通り入力し、「クエリの実行」をクリックします。
—————————————————————————–
Key QL
等しい
kind:microsoftteams
—————————————————————————–

※ 「kind:microsoftteams」 と入力すると Microsoft Teams でのチャット データが抽出されます。
※ 「kind:microsoftteams AND “検索したいキーワード”」 と入力すると Microsoft Teams での任意のキーワードが含まれるデータのみ抽出します。
※ 特定の日付のデータを抽出する場合は、「+ 条件の追加」 をクリックし検索する対象の日付を期間として選択します。
12.「Run query」 をクリックします。

4.検索結果をダウンロードする手順
1.「エクスポート」をクリックします。

2.以下項目を入力し、「作成」をクリックします。
————————————————————
エクスポート名:任意
エクスポートの説明:任意
————————————————————

3.「メッセージのPSTを作成する」が選択されていることを確認し、「エクスポート」をクリックします。
※PSTファイルとしてエクスポートすることでOutlookにて確認することが可能となります。

4.”エクスポートを開始しました” と表示されましたら、「OK」 をクリックします。

5.「プロセス マネージャー」 をクリックします。

6.「状態」が「処理中」から「完了済み」に変わり次第、クリックし詳細を開きます。

7.エクスポートの準備が完了した2つのファイルにチェックを入れ「ダウンロード」をクリックします。

8.ダウンロードされた「PSTs.001」ファイルを開きます。

9.「Exchange」フォルダを開きます。

10.Outlookデータファイルがエクスポートされたことを確認できました。
※PSTファイル=Outlookデータファイル
ユーザーにわかりやすくするために「Outlookデータファイル」と表示されています。

5.OutlookでPSTファイルを開く方法
先ほどエクスポートしたファイルをOutlookを使用し、メール形式で確認していきます。
※チャット形式でないため、視認性は悪いです。
もしチャット形式で確認したい場合、■ 注意点 で紹介した確認方法が適しています。
1.Outlook クライアント を起動し 、「ファイル」 タブ を開きます。

2.「アカウント設定」をクリックし、「アカウント設定(A)」 をクリックします。

3.アカウント設定画面が開きますので、「データファイル」 を開きます。

4.「追加(A)」 をクリックします。

5.先ほどダウンロードしたPSTファイル(Outlookデータファイル)を指定し 「OK」 クリックします。

6.「閉じる」 をクリックします。

7.Outlook クライアントの画面左側にデータファイル名のフォルダーが表示されます。

8.「TeamsMessageData」をクリックします。
このフォルダにてTeamsチャットの内容を確認することができます。

9.■出力するチャット画面で用意したチャットが出力されているか確認していきます。
①送信者、宛先が正しいことが確認できます。また、時間もチャットを送信した時刻で表示されています。

②こちらも同じく、Teamsでのチャットが出力されていることを確認できます。

③グループチャットも出力ができました。
Outlook形式のため、宛先がグループチャットのメンバーとなっています。

6.まとめ
Microsoft Teamsのチャットは、通常は本人以外が閲覧できない設計となっていますが、退職者や長期休職者の業務引き継ぎ、内部監査などの目的で過去のチャット内容を確認する必要がある場合には、今回ご紹介したMicrosoft Purviewの「コンテンツ検索」機能により確認が可能です。
ただし、出力されるチャットはOutlook形式であり 、Teamsで見るときのような見やすさはありません。もし、より自然な形で確認したい場合は、対象のアカウントにライセンスを再設定して、直接Teamsを確認する方法を推奨いたします。
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