退職者のメール受信停止と「退職済み」を送信者に自動通知する方法

2025.06.17

こんにちは!市川です! 
退職者のメールボックスはどのように管理していますか? 
退職者のメール履歴を保管していても、受信が停止されていないと新たなメールが届き続け、退職を知らない送信者が連絡を繰り返すことで混乱やトラブルが発生します。  
これを防ぐには、メールの受信停止とあわせて”退職済み”であることを自動通知する仕組みが必要です。 

そこで、「Exchange Online のメールフロー ルール(トランスポート ルール)の設定方法」をご紹介します! 

これにより、退職したユーザー宛のメールをブロックしつつ、送信者には自動返信で「該当のユーザーは退職済みです」と通知することが可能です。 
また、自動返信はカスタマイズできるため、代理の連絡先を記載して今後の連絡先として案内することもできます。ぜひご参考ください! 


・ルール適用前


・ルール適用後

目次


<共有メールボックスについて> 
退職後にメールの受信を停止しライセンスを削除しても、”共有メールボックス”に変換すると過去のメール履歴を保持できます。共有メールボックスはライセンス不要で利用可能です。 
※作成方法は以下の記事「手順6」をご参考ください。 
退職者の対処法 | yjk365 

1.トランスポート ルールの作成

まずは、トランスポート ルールを作成します。 

1.Exchange 管理センターを開き、「メールフロー」のタブより「ルール」をクリックします。


2.「ルールの追加」をクリックし、「新しいルールの作成」を選択します。


3.ルール名を入力し、「このルールを適用する」のプルダウンより「受信者」を選択します。


4.右の「1つ選択」のプルダウンより「この人物である」を選択します。


5.適用対象のユーザーを選択し、「保存」をクリックします。


6.「次を実行します」のプルダウンより「メッセージをブロックする」を選択します。


7.右の「1つ選択」のプルダウンより「メッセージを拒否してその説明を含める」を選択します。


8.メッセージの受信を拒否する理由を入力し、「保存」をクリックします。 
※自由にカスタマイズできるため、組織の運用に合わせて設定してください。
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例) 
ご連絡いただいた(g.suzuki@yjk365.jp)のメールアドレスは、 
当該社員の退職に伴い無効となっております。  
恐れ入りますが、以下の代理連絡先までご連絡をお願いいたします。 
【代理連絡先:yjksupport@yjk365.com】 

(※文中の改行は反映されませんでした。 )
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9.「次へ」をクリックします。


10.ルールの詳細設定を行い、「次へ」をクリックします。 
※設定項目の詳細は「3.設定項目の詳細」をご参考ください。


11.「完了」をクリックします。


12.「完了」をクリックします。


13.ルールが作成されました。 
※この時点では、ルールの状態が「無効」なのでご注意ください!


14.ルールを開き、「ルールを有効または無効にする」のトグルを「有効」に切り替えます。


15.ルールの状態が「有効」になりました。

2.ルール適用後の挙動

ルールを作成したので、挙動を確認します。 

1.ルールの適用対象ユーザー「鈴木 五郎さん」宛にメールを送信します。


2.送信した後すぐに、「送信済みアイテム」にメールが表示されました。


3.送信してから15秒ほど経ち、「配信不能メール」が届きました。受信の拒否理由に設定した文章が、メール内に反映されています。

※例文を設定した結果は以下の通りです。


4.配信不能メール内、右上の「再送信」をクリックし、メールを再送信します。


5.今回は10秒ほど経ち、再び「配信不能メール」が届きました。


6.次に、「鈴木 五郎さん」宛のメールのCCに、ルール適用外のユーザーを含めてメールを送信します。


7.10秒ほど経ち、同じように「配信不能メール」が届きました。


8.ルール適用外のユーザーには、無事にメールが届きました。


9.鈴木 五郎さんのOutlookには、メールが届いていないことを確認できました。

3.設定項目の詳細

「セット ルールの設定」では、ルールの詳細な設定を行うことができます。 
設定項目をそれぞれ説明します。 

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<優先度>
※ルール作成後に表示されます。 
複数のルールがある場合に、「どのルールを先に処理するか」を決めるための設定です。 
0が最も優先順位が高く、「優先度0」→「優先度1」→「優先度2」の順にルールが処理されます。


<ルール モード> 
ルールを事前にテストしたいときに使用する設定です。 
[適用] → 作成したルールが実行されます。 
[ポリシー ヒントありのテスト]  
 ・ルールの条件は評価されますが、アクション(拒否・転送など)は実行されません。 
 ・ Outlookで、送信者に「このメールはポリシーに違反する可能性があります」など通知されます。 
 ※このモードは、DLP(データ損失防止)機能が有効な環境でのみ使用可能です。  
[ポリシー ヒントなしのテスト]  
 ・ルールの条件は評価されますが、アクション(拒否・転送など)は実行されません。 
 ・メールの配信には影響せず、ログに記録されます。 
 ・必要に応じて、インシデントレポート(通知メール)を受け取る設定も可能です。 


<重要度> 
インシデントレポートやメッセージ追跡ログに記録される“重要さのレベル”の設定です。 
これにより、監査ログやレポートでの優先順位づけができるようになります。 


<このルールをアクティブ化する日にち> 
ルールの有効期間を自動的に制御するための設定です。 
指定した日付になると、ルールが自動的に有効化されます。それ以前はルールは無効のままで、メールには影響しません。 


<このルールを非アクティブ化する日にち> 
ルールの有効期間を自動的に制御するための設定です。 
指定した日付になると、ルールが自動的に無効化されます。それ以降はルールが適用されません。 


<以降のルールは処理しない> 
このルールが適用された時点で、”それより後に設定されている他のルールは(たとえ条件に一致していても)実行されない”という設定です。 
これにより、優先度の高いルールを確実に適用し、不要な処理や競合を防ぐことができます。 
※このルールと全く関係のないルールでも、順番が後ろにあれば実行されません。 

 
<ルールの処理が完了していない場合メッセージを延期する> 
ルールの処理時に、必要な情報(グループ情報など)が一時的に取得できないときに、ルールの評価をスキップせず、処理を一時保留にする設定です。 
※無効にすると、情報が不足していてもルールがスキップされ、意図しない動作になる可能性があります。 


<メッセージの送信者アドレスに一致します> 
特定の送信者にルールを適用している場合に、送信者アドレスのどの情報を見て評価対象にするかを決めることができます。


<コメント> 
ルールの目的や背景、運用上の注意点などを管理者向けに記録しておくためのメモ欄です。 
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